ニッサン情報 第13号
フィターゼとは? (その3)


フィターゼを給与する目的 〜その3〜

 フィターゼを乳牛に応用するというアイデアが生まれてきました。乳牛にフィターゼを給与すると次のような効果が期待できます。

フィターゼには整腸作用があり、濃厚飼料の多給が可能になる

 多くの微生物飼料や、微生物産生酵素飼料は一般に整腸作用があります。前々情報でお知らせしましたように、フィターゼはフィチン分解酵素だけではなく、蛋白質分解酵素、澱粉分解酵素、繊維分解酵素などいろいろな酵素が含まれており、これらの酵素群が相乗的に働いて腸の働きを正常に保ちます。
 M牧場では従来濃厚飼料10kg/日/頭くらいの給与が限度で、それ以上給与すると軟便になるとのことでした。しかし、フィターゼを給与して乳量が増えたため1〜2kg濃厚飼料を増給しましたが、糞は正常な形状を維持したといっています。
 またO牧場でも今までは軟便傾向が続いて糞の一部がバーンクリーナーから洩れて清掃作業がうまくいかなかったのですが、フィターゼを給与するようになってからは糞が硬くなってクリーナーがきれいに浚っていくようになったと知らせてくれました。


フィターゼを給与すると牛舎内の悪臭が綾和される

 畜産農家の悩みの一つに近隣住民からの臭いに対する苦情を受けることがあります。さらに、ひどい悪臭は牛乳に移行して異臭牛乳が発生することも考えられます。
 O牧場では臭対策としてビタコーゲンを利用していましたが、フィターゼを給与するようになって臭いが更に少なくなったといっています。O牧場では乳量や体細胞数よりも臭いがなくなったことを大きく評価しており、今後もビタコーゲンとフィターゼの併用を続けたいとしています。
 K牧場では臭対策として某社の生菌剤を使用していましたが、最近フィターゼに切り替えて大満足しているという知らせを受けています。


フィターゼを給与すると糞尿処理槽の様子が違ってきた

 先述のO牧場では糞尿処理槽の様子が違ってきたといっています。O牧場では糞尿混合物を200m3の地下槽に投入して曝気処理を行ない、2週間ほどして畑に撒布する方式をとっています。しかし撒布後2〜3日はひどいアンモニア臭があって近所に迷惑をかけていたようです。 フィターゼを使うようになってからは、曝気のためのモーターを止めても発酵が進行し、畑に撒いてもアンモニア臭が感じられなくなったということです。このレベルにまでアンモニア臭を落とすには、これまでの方式では2ケ月くらい曝気しなければならなかっただろうとO牧場では述べています。 またこれによってモーター電気代が5万円/月節減できるようになったと喜ばれています。

 このような現象は微生物飼料を給与した場合によくみられることですが、フィターゼが既に流通している各種の微生物飼料に勝るとも劣らない効果があることを実証できたと考えています。



ホーム 戻る
Copyright © 2008 NISSAN GOSEI KOGYO CO.,LTD. All Rights Reserved.